ブランディングデザイン │ DRIVE,inc

弊社株式会社ドライブ代表、ブランディング・デザイナーの芦谷正人と、同志社大学学院総合政策科学研究科の中村尊裕氏による対談。「日本にデザインファーム形成は可能か?」そして「中小企業にとっての利益につながるデザインとは?」という質問をお二人に率直にお聞きしました。「日本デザイン産業」の分析をイタリアボローニャの商工会議所から依頼されるというこの業界の第一人者である中村氏に欧米との比較、分析からお話をお聞きしました。中小企業のブランディングデザインを専門とする芦谷との熱いトークをお楽しみください。

2010年1月 インタビュー取材・文/越智明  写真/植木文造



第1話「大阪はイタリアの脅威」
● 聞き手):中村さんは様々な研究や事業を展開されていますが、その数ある事業の中で「デザインファームを作る」というのがあったのですが、今回のテーマとしてその辺りをお聞きしたいと思っています。まず、イタリアから「日本デザイン産業」の調査依頼を受けたお話を聞かせてください。

● 中村):イタリアのボローニャの商工会議所なんですけれども、日本のクラスターとイタリアのクラスターとどこが違うのかと。イタリアの中での自分たちの強みがわかってないんですよね。どこが強みなのか、中にいたらわからない。そこでイタリアはこれからどのような展開をすればいいのか。日本との比較研究をして欲しいと。
● 聞き手):なぜ、日本なのですか?

● 中村):イタリアが日本の高い技術力とデザイン性に注目しているからです。

イタリアでは「日本のデザインはすごい」とされています。高い値段になると。たとえば和紙です。和紙の後ろからライトをあてるだけの商品が6万から7万で取り引きされていたり。結構いい値段がついているんです。照明器具はやっぱり日本製がいいと。デザイン的にも優れているし、機能的にも優れている。

● 芦谷):確かに、イタリアの高い家電は機能性悪いですよね(笑)。
● 中村):そうですね(笑)。イタリアには、MOD:マネージメント・オブ・デザインという、デザインをマネージメントすることによってイノベーションが生まれるという考え方があって、その考えの中で日本は脅威にある。そこで日本がいまどういう動向にあるかということを教えてほしい。そしてイタリアとの比較分析をしてほしい、と。その研究結果を日本でも使ってくれていいよと。そういう形で調査を受けたんです。

● 聞き手):どういう流れで中村さんに依頼が来たのですか?

● 中村):仕事の関係で何度かイタリアの商社に行くことがあって。僕のコンサルタント会社からイタリアにボルトを流通させたりしているんです。八尾とか東大阪のボルトです。そういう流れでイタリアの商工会議所にお世話になることがたあったので。僕が研究者ということを向こうも知っていて「研究してほしい。」というので、受けたんです。

● 聞き手):単純な疑問ですが、デザインといえば、世界から見たら東京だと思うんですけど、大阪に依頼が来たというのは、なぜでしょうか?

● 中村):大阪のアメ村をイタリアは結構意識してるんです。アメ村はモードの発祥地だと。あそこをイノベーションの地だと見ているところがあって。最新のファッションをしていると。大阪で最新のデザインが生まれるんちゃうかという考え方なんです。

● 芦谷):全然、大阪におったら思わへんなあ。そんなこと。

● 中村):僕も東京やっていう意識はあったんですけど、イタリア人にとっては、大阪がデザイン、文化が生まれる地じゃないかと。

● 芦谷):確かにデザイナーは関西人めちゃくちゃ多いですよね。田中一光さんもそうやし。

● 中村):気質についても、大阪人の気質に、デザインとしての可能性を感じるという話がありました。そういうところで、日本、大阪はイタリアの脅威になると。イタリアでは、行政がものづくり企業とデザイナー(デザインファーム)をくっつけようとする活動をしています。イタリアのそのような活動を調査し、日本(東大阪や八尾で)でも落としこんでみる。そして分析結果をまとめる。そんな内容です。

● 聞き手):具体的に中村さんの実務を教えてください。

● 中村):各企業の調査ですね。イタリアの企業をフィールドワークしてまわって、どのようにデザイナーとコラボレーションしてるいのか、それによってどのような製品ができたのか。それがちゃんと市場に流れたか。などの調査です。

● 聞き手):イタリア「デザインファーム」の活動や八尾のものづくり企業を調査して、デザインに対して興味のわいたところはどういうところですか?

● 中村):海外は、ものづくりの中にデザインがうまく使われていますが、機能的な所はあまり良くない。イタリアの製品で言うとデザイン的には飛んでるけど…、というものが多い。日本は違います。日本はデザイナーとちゃんとコラボレーションして作っている製品は、機能もすごいし、デザインもすごい、と。僕はデザインって機能性やと思っています。機能性では日本は優れていると。それをちゃんとマネージメントする人がいないから市場に優れた製品が並ばないし、なかなか注目を浴びない。

● 聞き手):イタリアでいろいろ見てまわって改めて感じられたのですか?

● 中村):日本のデザインのすごさを感じましたね。例えば、喜多俊之さん「凧」(※手漉きの和紙を使った壁面照明器具)とか、ああいうもの。ものすごく簡単やん!と思われる方も多いと思いますが、そこがすごい。デザインの良さというか、日本を感じるというか、和の美しさですね。日本の伝統や歴史が、世界に打ち出していける強みだと思います。




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