費用対効果の高いショップ・ブランディングとは?



ドライブが2008年に店舗の立ち上げから手掛けた「VADI」という美容サロンにスポットをあて、

ドライブ代表芦谷がお店つくりのブランディング(ショップ・ブランディング)について

語っています。ぜひ、お楽しみください。



森田恭道氏のお店つくり
● 山田)まず、こちらはどういった内容のお店ですか?
● 芦谷)はい。このお店は今から2年程前に美容サロングループ「K-two」が別ブランドとして立ち上げた高級メンズサロンです。「VADI」という名で東京の表参道にオープンしました。(注:2009年12月現在はK-twoグループが別名で運営中)
● 山田)内装がとてもラグジュアリーで格好いいのですが、どなたのデザインでしょうか?
● 芦谷)この内装は日本を代表するインテリアデザイナー森田恭道さんです。 日本はもとよりニューヨークや香港など、世界中で多くのプロジェクトを手がけている方です。 あの、大女優大地真央さんの旦那さんとしても有名ですよね。 森田さんとお仕事をさせて頂いたのは 初めてだったのですが、本当に素晴らしい方でした。

空間にキャッチをつけるのがすごくうまいんです。デザイナーという職業は多くの人が職人的になってしまいます。だから、気を抜くとすぐ自分の世界に入り込んでしまいがちです。 結果、マニアックなこだわりが強すぎて、一般的に見たらものすごく地味なものになってしまうことが多いのですが、森田さんはお客さんの視 点に立ってキャッチを付けるのが本当にうまいんです。

この「VADI」で言えば、壁にかけられている写真ですね。(写真はファッション誌Numeroなどで活躍しているアーティストの作品)ものすごくインパクトがありますよね。 そしてバランスがとってもいい。 写真だけが前に出る訳でもなく、この空間にすごくマッチしているんです。 森田さんと話をして気付いたのですが、デザイナーというよりも総合プロデューサーのような方でした。いつも施主の立場に立って俯瞰してデザインを考えられてました。



DRIVEはネーミングから
考えます

● 山田)芦谷さん、ドライブさんの役割は?
● 芦谷) お店をトータルにコーディネートするストアデザインです。 まあ一言で言えば“ショップブランディング”ですね。 やっぱりここでも、“ブランディング”という言葉がキーになってきます。 ブランディングは即効性が 求められるマーケティングと違い、時間をかけて築いて行くものです。 マーケティングが売るための技法であるなら、ブランディングは企業やお店の“思い”を目に見えるカタチにする作業です。まさに、お店の魂です!!それくらい重要なものなんです。
お店をオープンするにあたってブランディングをするという事は 店舗オーナーの魂をお店に入魂する行為なんです。 だから、小手先ではなく、じっくりとお店のオーナーと話し合いながら考えていかなければいけません。 そのお手伝いとして最初のコンセプト決めや、それこそネーミングの部分から僕たちは参加しています。

・どんな人に売りたいのか?
・お客様にどういうイメージを持ってもらいたいのか?
・他店との違いは何なのか?
・そもそも社長の「思い」は何なのか?


といった具合にデザイン制作に入る前に本当に考えますね。 一番時間をかけてもいい作業です。 上記の項目が決まれば、後はそれを私たちが視覚化(デザイン)して行きます。 そのビジュアルをクライアント、私たち、インテリアデザイナーなどプロジェクトにかかわる人たちの「共通のキーワード」にしていきます。 それが、私たちがいつも言っている「デザインとは1つのソリューションツールである」ということなんです。 考えが言葉だけではなく視覚化された事でみんなの意見交換がしやすくなって、 より完成度の高い仕事ができるのです。





私たちDRIVEは徹底的に
トーンを分析して
ロゴをつくる

● 山田)例えば、ロゴはどんなふうに作るのですか?
● 芦谷) はい。まずは、設定したターゲットに合わせた“トーン”を徹底的に考えます。 ターゲットはどんな雑誌を読んでいるか、どこに住んでいるのかと分析します。 大まかに30・40代男性と言っても多くのカテゴリーにわかれてきます。 例えば、職業、ファッション、独身or既婚などなど…。 ですので、まず、ターゲットを明確に設定しなければなりません。 そしてターゲットが決まればそのターゲットが カッコいいと思っているイメージを意識してデザインをしていきます。

実は誰でも無意識ではありますが、トーンを感じとっているんです。 そしてそのトーンを感じて「ダサい」、「かっこいい」、「高そう」、「安そ う」と 判断しているのです。私たちデザイナーはそのトーンを出すために、 書体や文字のエレメントなど、 とても小さなディティールにまで、目を配り、調整して ロゴデザインしているのです。

後、ロゴに関してはもう1つあります。 それは「ロゴ案を大量に作る」ということです。 私たちデザイナーもプロとはいえ魔法使いではありません。 コレだ!と言ってロゴを一個作って決まるものでもない。 私もショップロゴを数多く作ってきてきましたが、そんな簡単なものではありません。 特に今の時代はモノや情報が多すぎて迷って当たり前です。 だから、頭が空っぽになるまで大量に案を作りますね。 そしてクライアント含め悩みに悩んで考えて決まったものがやっぱり、 良いロゴになるんですよ。



費用対効果の高いプロモーションとは?
● 山田)こちらの全てのツールをデザインされたのですか?
● 芦谷)はい。全て弊社でデザインしました。 「DM」「チケット」「名刺」「紙袋」「HP」(他に多数)です。 こういうデザインの統一感はブランディングとしての効果を生み出します。 しかし、ただお金をかけて数を作ればいいというものでもありません。 プロモーションには費用対効果と効率が重要です。 こういったツール制作の場合はまず何に対して一番力を入れるのかを決めることが重要です。

この「VADI」の場合だとコンセプトや立地などを考えて富裕層への「口コミ」でした。 だから、招待チケットやノベルティに特に力を入れました。 見て頂いてもわかるように凝っているでしょう。 僕たちは案件ごとにターゲットや立地条件などに合わせて戦略を考えていきます。 お店が10店あったら10通りのプロモーション方法があるということです。

今は、単純なマスメディアが効果を無くしている時代です。 だから、そのお店のコンセプトや商品、価格など全てをふまえてどのプロモーション戦略に一番力を 入れるかを見極める事が大切なのです。その他のプロモーションツールに関しては、 プロモーションの結果を見てどこに力を入れていくべきか慎重に考えていくべきですね。 こちらの「VADI」に関しては雑誌へのプレスリリースもやりましたね。 たしか「LEON(レオン)」に掲載しました。



売り上げに反映するデザインとは?
● 山田)どうして、グラフィックデザインだけではなく こういったトータルのコーディネート業をするようになったのですか?
● 芦谷) そうですね。僕も昔はほんとだだのデザイン屋さんだったんです。 ただ、かっこいいものを作りたいという目的のためにデザイン制作のみをやっていました。 そこからどうしてこうなったかと言うと、クライアント(特に経営者)との関係が親密となり、僕も経営について強く意識せざる えなくなっていきました。そのうち、自然と僕の役割が増えていったんです。

クライアントから店舗のコンセプト決め、ネーミング決めの会議などに参加させられるようになりました。最初は嫌だったんです。 めんどくさいし、早く帰ってデザインしたい、っていう。

でも、なんでそうなったかを考えてみたんです。 なんでデザイナーの僕に「売り方」や「マーケティング」 の考え、意見を求めてくるのかなって。

そして僕は気付いたんです。「デザイン」に対して様々な経営的課題の解決を求めているのだと。 だから、しっかりとしたコンセプトから考えられた「デザイン」がお店の売り上げに直結するという時代の流れになってきたのです。 昔よりは今のほうが…。 この話をするともっと時間がかかるのですが…。

● 山田)大変興味深いお話ですが、その辺りはまた次の機会にでも…。
●芦谷)そうですね。はい。
● 山田)今日はありがとうございました。
●芦谷)いえいえこちらこそありがとうございました。

取材・文・編集/山田紀子





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